ルーテル教会は世界最大のプロテスタント教会であり、伝統的なキリスト教会です。式文(リタジー)を用いて礼拝を行います。

バイブルエッセイ

2009年のバイブルエッセイ一覧

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そのままのあなたで

マリアは言った。「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように」
ルカによる福音書1章38節(日本聖書協会『聖書 新共同訳』)

花になろうよ。
とは言っても綺麗に着飾る必要もないし。他の人より目立つ必要もない。ただ、今与えられている場所で生えればいい。今与えられている「時」を感じて精一杯生きればいい。


そのまま生きるって、なんだか難しい。
「そのままのあなたでいい」って言われたことある? 「そのままのあなたでいい」そう言って一人ひとりを受け入れておられる方を知ってるよ。自分がそのままでいいはずないじゃんって思ってたって、あなたが気付かなくたって、もうすでにあなたの存在そのまま丸ごと受け入れられている。
「うそだ」って言われても私にはどうしようもない。
あれも、これもできなくてはいけない。できないと私はだめなんだっていくら思っても。一人ひとりの命をつくられた方がおっしゃるんだもの「そのままのあなたでいい」って。
あなたを包み込む丸ごとの愛は誰にも真似できない。しなくてもいい。それは人間業ではないからね。


そのままの自分てわからない。わからないよね。あなたをつくられた方にしかわからないよ、きっと。
いいじゃん。そのままのあなたがいいんだから。何をやっても私はダメなんじゃなくて、やってみたあなたはすごいと思うよ。深呼吸してみようよ。立ち止まってみようよ。あなたは生かされているんだよ。今というかけがえのない時を与えられているんだよ。
当たり前のものは何もない。朝、目覚めること。言葉を話すこと。笑顔でいられること。歩くこと。食べること。いろんな人と出会うこと。
当たり前のものは何もない。だからって失うかもしれないからと不安になることないよ。今があるんだから、今を精一杯生きればいい。
過ぎた時は変えられない。他人を変えることもできない。あなたが変わればいい。あなたらしく「ありがとう」を伝えればいい。


きっと「ありがとう」がいろいろな色をしているんだよ。「ありがとう」はいろんな形をしているんだよ。命の数だけ。
花になろうよ。与えられた「今」をそのまま生かされて。自分色の「ありがとう」をそのままここに生やすんだ。

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卒業おめでとう!に愛をこめて!

主は人の一歩一歩を定め/御旨にかなう道を備えてくださる。詩編37,23節(日本聖書協会『聖書 新共同訳』)

小学校のPTA会長をさせていただいたとき、貴重な経験をたくさんさせていただきました。その1つに入学・卒業式の祝辞というものがありました。学校関係の方々、地域、保護者、そして娘をふくむ子どもたちに語りかける恵みをいただきました。何を祝辞として語るか祈りつつ考えました。
 「本日、小学校を卒業する皆さん、ご卒業おめでとうございます。今日は6年間を振り返り、たくさんの感謝をしなければなりませんね。ひとつひとつの感謝を数えてみましょう。まず、学校の先生方に『ありがとう』ですね。地域の方々にもこの6年間、守られてきました。そして、家族。まだまだあります。100年を迎えた学校、教室。給食はおいしかったですか。校門では毎日トトロが迎えてくれました。どれだけ多くの感謝を見つけることができますか。『ありがとう』をたくさん見つけることができれば大丈夫です。これから多くの『ありがとう』を支えにしてください。
私たちも皆さんに『ありがとう』がたくさんあります。最も大きな『ありがとう』は、皆さんが命を与えられ、子どもとして与えられたのでわたしたち『親』になれました。1人の子どもの親となり、共に6年間を過ごせたことに『親としてくれて、ありがとう』です。つらいこと、くるしいこともありました。でも、皆さんの親として生きてきたこと、これからも親でいられることを誇りに思います。
 皆さんは『命』という漢字は知っていますよね。でも命って何でしょうね。命はひとつでも、多くの漢字があります。『運命・使命・寿命』そして『生命』。皆さんの命は様々に形を変えて生きています。これからいろんなところに運ばれていきます。『運命』とは出会いですね。使っていく命があります。『使命』です。必ず皆さんの命を必要とするところがあります。そして『生命』。みなさんはこれをどう読みますか。『生きる命・生きている命』。それでいいです。でも、6年間を振り返り、多く感謝を数えてみると『生かされた命』ではなかったですか。みんな多くの方々の見守りの中で『生かされている命』を持っています。だからその命を大切にしてください。決して命を傷つけるような生き方はしないでくださいね。ここにいる多くの方々がこれからもみんなのことを見守っていますから。
本日をもって皆さんはこの小学校の卒業生となります。それぞれが、新しいスタート地点に立ちます。これからも、卒業生としての誇りを持ち、さらにご活躍くださるようにお祈りし、お祝いの言葉とさせていただきます。本日は、まことにおめでとうございます」
子どもたちの成長に、見守ってくださっている神様がおられる。その神様の祝福のもとで生かされた命を大切にしていただきたいと願っています。
もみじ

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神さまの個展会場。注目の作品は......

あなたの天を、あなたの指の業を/わたしは仰ぎます。
月も、星も、あなたが配置なさったもの。
そのあなたが御心に留めてくださるとは
人間は何ものなのでしょう。
詩編 8編4節(日本聖書協会『聖書 新共同訳』)

 大学で物理学を勉強していた方と出会いました。小学生のころから理科が苦手で、私にとっては何も興味を持てなかった分野でした。何が面白いのかと思って尋ねてみたら、「世の中にあるどんな事柄も数式で表わすことができるところに惹かれた」と言われました。これは私にはとてもわかりやすい答えでした。理科の面白さはそういうところにあるのだろうな、とほんのちょっぴり分かった気がしました。
 そして、考えてみると、ほかのいろいろな分野も似たようなことが言えると思います。
 たとえば、彫刻や絵画を作りだす芸術家。言葉にはならないような気持ちを作品にあらわしていらっしゃるのでしょう。だから見る者も、専門家でない限りは、その作品をどう言い表していいのか分かりません。気持ちで感じるだけです。
 作曲家もそうでしょう。自分の気持ちをひとつの曲に表わしていらっしゃると思います。聴く人も、作曲者の気持ちに共感できた時、その曲のすばらしさを味わいます。
 日本人でもおそらくほとんどの人がどこかで聞いたことのある讃美歌。「いつくしみ深き友なるイエスは、罪とがうれいを取り去りたもう。心のなげきをつつまず述べて、などかはおろさぬ負える重荷を。いつくしみ深き友なるイエスは、われらの弱きを知りて憐れむ。悩み悲しみに沈めるときも、祈りにこたえて慰めたまわん」

 どんな時に聴いても、うたっても、心を安らかにさせてくれる讃美歌です。でも、この歌の背景を知らされたとき、なおこの歌に込められた思いを共感することができます。作詞者のスクリーブン氏は、ご自身の婚約者が急死し、それを悲しむお母さんを慰めるためにこの詩を作ったと言われます。
 わたしたちはみな、悲しみを背負って生きていますから、スクリーブン氏がこの詩を作ったときの気持ち、また、悲しむ人の心を少しでもやわらげようとして作った歌だと知ったとき、そこに込められた思いをなお強く感じることになります。
 聖書にもあふれる思いがこめられた言葉がたくさんあります。「あなたの天を、あなたの指の業を/わたしは仰ぎます。/月も、星も、あなたが配置なさったもの。/そのあなたが御心に留めてくださるとは/人間は何ものなのでしょう」(詩編8編4節)
 この詩人は、天も、地も、この世にあるものすべてが神さまの作品であることを思い、この詩を残しました。作者である神さまをたたえています。この世界は、作者である神さまの言葉には言い表せないおこころがあふれている。しかも、その中の最高傑作品は人間。
 時に悲しみ、時に憂い、時に探し、時に喜び、時に愛し、時に愛され、時につまずき、時に立ち上がる。そんな優れた作品のひとつが、この私......。
 そのことに気づいた時、飲み込まれそうな大空を見上げながら、その大空をもその≪指の業≫で造られたお方をたたえつつ、詩人は、この詩を残しました。


 そう、あなたも神さまによって造られた最高傑作。この世界のすべてをお造りになった神さまが、もう言葉では言い表せないとおっしゃりながら、そのお気持ちを形に表されたのがあなたです。
 この作者は、同じ作品を二つとお造りにはならない方です。だから、この作者は、あなたがあなたらしく悩み、あなたがあなたらしく喜び、あなたがあなたらしく今日を生きることをお喜びになるようです。
 鏡を見たとき、思い出してください。「わたしは神さまの作品。世に二つとない最高傑作なのだ」と。ほかの誰もがそれを忘れていても、作者は知っています。
パパレンジャー

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