ルーテル教会は世界最大のプロテスタント教会であり、伝統的なキリスト教会です。式文(リタジー)を用いて礼拝を行います。

バイブルエッセイ

思いがけない視点 


「天が地を高く超えているように わたしの道は、あなたたちの道を 
わたしの思いは あなたたちの思いを、高く超えている。」  イザヤ書55章9節

梅雨時になるとK君のことを思い出します。障がいのある男の子で、彼が小学3年生の時から5年生まで家庭教師として関わりを持ちました。家庭教師といっても学校の勉強を教えるのではなく、外で遊びながら、いろいろなことを経験していくことを目指しました。未知の世界へのチャレンジ、まさに試行錯誤の連続でした。そのような中で、補助輪を外して自転車に乗れるようになった時には、K君以上にご両親が喜ばれ、その日のうちに新しい自転車を買いに行かれました。その自転車でサイクリングも楽しむことができました。ボール遊び、縄跳びなどをしていました。また、絵本を読んで感想文を書いたり、日記を書いたりしていました。彼は、なかなかの詩人でした。  
 雨が続いたある日、K君は小さな葉の上に一滴の雫があるのを見てこう言いました。「先生、葉っぱが重いよーって言ってる。」
 雨の雫一粒が小さな葉の上に乗っている、その葉には一粒がちょっと重かったから少し下を向いているのだ、そうK君には見えたのでしょう。或いは、うつむき加減になっている葉の声が聞こえたのかも知れません。けれどもその時の私には、K君が感じたように見ることはできませんでした。小さな葉の声に耳を傾ける、小さな葉から見る、というような視点はありませんでした。雨に濡れた花や葉を、「しっとりとして美しい」、「草花には潤いの雨」、そう、雨にだけしか目が向いていなかったのでした。草花の側に立つとき、激しく降る雨を「潤いの雨」などとは受け止めることなどできないでしょう。
 雨に濡れた小さな葉を一つとっても、いろいろな視点で見ることができます。しかし、私たちにはそのすべてを、いつも見ていくことはできないのではないでしょうか。私たちの思いを超えて見守ってくださっている方がおられることを、聖書は教えてくれています。 AU

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